防衛大生の日常生活でちょっとした娯楽になっているイベントをご存知でしょうか。いくつかありますが、その際たるものといえばジュ―ジャンすなわちジュースじゃんけんです。そこで今回は防衛大内で頻繁におこる、このジュ―ジャンを勝ち抜くための一つの秘策をお伝えしましょう。実際の考察から読みたい方は【ジュージャンの必勝法とは】の〈大人数戦で勝ち抜く基本方針〉のところへスワイプしてください。
ちなみに投稿主は数学どころか算数もまともにできないので、何か問題点があったりもっと面白いアプローチの仕方がありましたらこちらで教えてください。
そもそもジュージャンとは
知らない方のために説明しておくとジュージャンとはジュースじゃんけんの略でジュースを飲みたい参加者が集まり、負けた1人に全てのジュースを奢らせるというものです。このイベントは防衛大内で学年の隔てなく行われており、私の居室(基本的に各学年2人ずつ、私の場合は一学年だけ3人でした)でも自習時間中にジュージャンをしたことがあります。ちなみにその際は私の同期の一学年の学生が負け、部屋員分のジュースを奢らされていました。上級生が彼に「後輩に奢ってもらうジュースうめぇ〜」といったり、彼が上級生に「大事に飲んでくださいね」ということを言っていたり非常に楽しい思い出でした。
ジュージャンの必勝法とは(大人数編)
今回私は未来の防大生の皆さんのためにジュージャンを生き抜くためにどのような戦略を取るべきかを考えた次第です。いろいろと読み漁りましたが、少人数戦での闘い方は確証を持って説明できそうにありません(心理学なんかは苦手でして)。そのため今回は大人数戦での闘い方をお話します。
大人数戦はいつ起きるか
そもそも大人数戦はいつ起きるか? 単純明快ですが、それは大きな部隊の中で行動している時です。私のいた中隊の一学年(基本的に授業はこのユニットで行われる)でも授業と授業の間でジュージャンが勃発していたのを見たことがあります(私の寝室の人間が負けて全員分の料金を払っていました)。
そんなかんじでジャンケンを行うわけですが、大人数になるとある問題が発生します。それは20人ぐらいが一回のジュージャンに参加するのでアイコしか発生しなくなるということです。そうなったら皆さんどうしますか? ええそうですよね、一旦グループに分かれてグループの中で負けたもので再び全体の敗者を決めると思います。この工程に勝ち抜くための基本方針が隠されています。
大人数戦で勝ち抜く基本方針
その基本方針とはこのグループ分けを利用して勝率をいじるというものです。じゃんけんを前述したようにグループで分けて行うと、参加者それぞれが負うリスクが異なることがあります。この現象を説明するために、一度20人がジュージャンを行うとします。
グループを2人と18人に分ける場合
極端ですがこの分け方が一番わかりやすいので、これで説明します。2人のグループをA、18人のグループをBとします。グループAの人間がグループAのなかで負ける確率は1/2、グループAの代表とグループBの代表の決勝戦で負ける確率は1/2なのでジュージャン全体で負ける確率は1/4になります。
一方でグループBの人間がグループBのなかで負ける確率は1/18、決勝戦で負ける確率は1/2なのでジュージャン全体で負ける確率は1/36になります。つまり、グループAの人間が負ける確率は1/4、グループBの人間が負ける確率は1/36になります。そう、本来なら等しく負ける可能性は20等分されるはずなのにグループに分けることで負担する可能性が変わるんです。
数式を使った原則の説明
簡単にわかる事ではありますが、数式で一般化すると以下のようになります。数式はめんどいから結論だけ知りたい方は下のほうへスクロールしてください。
m+n人で争う場合(mとnはm>nを満たす自然数)を考えると、それぞれのグループに所属する人間が最終的に負けるリスクは以下のようになります。
$\tfrac{1}{m} \times \tfrac{1}{2} = \tfrac{1}{2m}$ (m人グループに属する場合)
$\tfrac{1}{n} \times \tfrac{1}{2} = \tfrac{1}{2n}$ (n人グループに属する場合)
$m > n$ なので $\tfrac{1}{2m} < \tfrac{1}{2n}$
ここから導き出される結論は「グループに分かれる場合は人数が多い方のグループに所属すると、負ける確率を下げられる」という事です。なんというか少し一票の格差と考え方が似ていますね。
グループを二つに分けるか三つに分けるか
今回伝えたいことの核心は先ほど述べたことなのですが、それでは味気ないので追加の考察をします。人数が多くなってグループを分ける際、二つのグループではなく三つのグループを作ることがありますよね。この章ではどのような人数の時にグループを三つに分けるべきかを考察していきます。
考える時の条件を「あなたは必ず確率の低くなるようにグループに所属する」かつ「どのグループを他のどのグループと比較しても人数差は2人以上にならない」とします。数式は面倒臭いという方はこの章の一番最後にGO!!
全体が6m+1人の時 (mは自然数)
この場合において2つのグループに分けると、3m人と3m+1人に分かれます。先ほどの章で導き出した結論からあなたは多数派である3m+1人のグループに入ります。この時、あなたが最終的に負けるリスクは
$\tfrac{1}{3m+1} \times \tfrac{1}{2} = \tfrac{1}{6m+2}$
この場合において3つのグループに分けると、2m人と2m+1人に分かれます。この場合も同様にあなたは多数派である2m+1人のグループに所属するため、あなたが最終的に負けるリスクは
$\tfrac{1}{2m+1} \times \tfrac{1}{3} = \tfrac{1}{6m+3}$
ここでリスクの大小を比較します。
$6m+2 < 6m+3$ なので常に $\tfrac{1}{6m+2} > \tfrac{1}{6m+3}$
したがってこの場合は3つのグループに分けるほうがあなたの勝率が上がることが分かります。
全体が6m+2人の時
ここからは説明を省略してあなたが負ける確率をがつがつ計算していきます。
$\tfrac{1}{3m+1} \times \tfrac{1}{2} = \tfrac{1}{6m+2}$ (2つのグループ)
$\tfrac{1}{2m+1} \times \tfrac{1}{3} = \tfrac{1}{6m+3}$ (3つのグループ)
$6m+2 < 6m+3$ なので $\tfrac{1}{6m+2} > \tfrac{1}{6m+3}$
したがってこの場合は3つのグループに分けるほうがあなたの勝率が上がることが分かります。
全体が6m+3人の時
$\tfrac{1}{3m+2} \times \tfrac{1}{2} = \tfrac{1}{6m+4}$ (2つのグループ)
$\tfrac{1}{2m+1} \times \tfrac{1}{3} = \tfrac{1}{6m+3}$ (3つのグループ)
$6m+4 > 6m+3$ なので $\tfrac{1}{6m+4} < \tfrac{1}{6m+3}$
したがってこの場合は2つのグループに分けるほうがあなたの勝率が上がることが分かります。
全体が6m+4人の時
$\tfrac{1}{3m+2} \times \tfrac{1}{2} = \tfrac{1}{6m+4}$ (2つのグループ)
$\tfrac{1}{2m+2} \times \tfrac{1}{3} = \tfrac{1}{6m+6}$ (3つのグループ)
$6m+4 < 6m+6$ なので $\tfrac{1}{6m+4} > \tfrac{1}{6m+6}$
したがってこの場合は3つのグループに分けるほうがあなたの勝率が上がることが分かります。
全体が6m+5人の時
$\tfrac{1}{3m+3} \times \tfrac{1}{2} = \tfrac{1}{6m+6}$ (2つのグループ)
$\tfrac{1}{2m+2} \times \tfrac{1}{3} = \tfrac{1}{6m+6}$ (3つのグループ)
この場合は負ける確率がどちらも同じなので2つに分けても3つに分けても勝率は変わりませんね。
3人か分けるか2人で分けるかの基準はこれだ‼︎
全体の人数が6m+1、6m+2、6m+4人の時はグループを3つに分けるほうが最適で、6m+3人の時は2つに分けることが最適であることがわかりました。また6m+5人の時はどちらでも勝率は変わりませんでしたね。
とまぁこんな感じで分析したわけですがこの理論は人数が多いときに適応されるにも関わらず、人数が多くなればなるほど分け方を変えて得られる勝率が減っていくという致命的な欠陥を持ち合わせていることがまた面白いですね。しかし勝率が上がる事には変わりないのでこれの通りに流れを誘導してみましょう。今回はグループの人数差が2人以上にならないような設定にしましたが、この制限を撤廃すればもう少し勝率を上げることが出来ます。
まとめ
今回は日本の防衛ではなく皆さんのお財布の防衛に役立つ考察をしてまいりました。ぜひジュ―ジャンに生かしていただけると嬉しいです。先ほど述べたようにグループを2つに分けるか3つに分けるかはそこまで大きな勝率の変動はありません。今回の記事でわかった一番大事なことは「グループ分けが起きたら人数が出来るだけ多いグループに属し、偏りを作ろう」という事ですね。他に質問・要望等あればこちらからお願いいたします。ではまた次の記事で
事後の行動にかかれ わかれ
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