こんにちは。そろそろ冬将軍を感じることのできる季節になりました。皆さんいかがお過ごしでしょうか。そろそろ入校まで4ヶ月程となり新入生も期待に胸を膨らませている時期かと思われます。そこでそんな新入生の皆さん向けに防大で必要になる用語をお教えしたいと思います。これらをマスターしておくとあなたの防大生活がグッとスムーズになります。今回は毎日耳にする用語をまとめた日常編と頻繁に耳にすることはないが大切な用語をまとめた非日常編でわけています。日常編だけでもマスターしておきましょう。
日常編
ピカール
防大生が金属パーツを磨く際に使う研磨剤のこと。彼らは毎朝ピカールを使って自身の金具をピカピカにします。そうしないと朝の容儀点検で色々言われちゃうので。特に一回も磨いていない金属パーツにはコーティングのようなものが掛かっているので、初回は入念に磨く必要があります。
靴墨
防大生が短靴(一般的な革靴)や半長靴(訓練で使う長靴)を磨く際に使うワックスのことです。みんなサフィールを使いがちで、短靴を毎日磨いています。これも朝の容儀点検に備えてですね。また、何故かはわかりませんが短靴で廊下を走ってできる黒い汚れのことをも靴墨と呼んでいます。「靴墨落とせー」と言われる時の靴墨とはこちらのことであり、この号令がかかるとメラニンスポンジ(通称メラスポ)で廊下を全力で擦る必要があります。
プレス
俗に言うアイロンかけのことで防大生は基本的にどんな衣服にもプレスをかけます。防大生の顔と言える常装は言うにおよばず、作業服や校内服にもかけるのです。私の弓道部の友人は袴にもプレスしていました。例外は運動服ぐらいです。
ベップレ
ベッドメイキングと前述したプレスを合わせた言葉で防大生が課業が終わってから自習時間が始まるまでに行う二代巨頭的な存在です。
テンキー
1人につき一つ与えられている金庫のことで、居室(普段生活している部屋)に置かれています。スマホや財布などの貴重品は身につけるかテンキーに入れておかないと厳しい指導が入ります。これは将来重要な書類の紛失等を起こさないための練習として行われています。
点呼
隊全体の人員状況を確認するために行う集会のことで、日常的に行うものは日朝(にっちょう)点呼や日夕(にっせき)点呼があります。また休養日にみんながしっかりと帰校出来ているかを確認するための躾点呼や脱柵者が発生した際にその旨を伝える臨時点呼などがあります。日夕点呼には後述する容儀点検がセットでついてきます。
容儀点検
自衛官として相応しい容儀(身のこなし)を確認するために行われます。私のいた中隊では土曜日以外の日夕点呼後容儀点検が行われていました。主な指摘事項は所持品(メモ帳・ハンカチ・ティッシュ)不携行、ホコリ、プレス、ピカール、着こなし(背中の張り・ベルトのバックルの位置・ベルトがバックルからはみ出る部分の長さ・チャック・タグ・帽子の張り・汚れ)、靴磨きです。覚えておきましょう。
課業行進
課業(授業)に向かう際の行進のことで大隊ごとに掌握して向かいます。朝は毎日ありますが昼に関しては私の期で水曜日のみになっている模様です。元々毎日やっていたのが週3日になって現在は週1なので将来的に昼の課業行進は無くなっていくのではないかと思います。たまに天気が超絶悪いと課業行進は行わず、各自で教場に向かいます。
伝達
基本的には何か伝えられる情報のことを指しますが、校内放送の意味でも使われます。校内放送とは寮内のスピーカーから流れる放送のことで、日時や場所が指定されたりするのでそちらへ前進する必要がある。ちなみに自分に関することなのにメモを取らないと、上級生から「メモ取んなくていいのかよぉ」と指導されるので注意です。
舎前・舎側・舎後
大隊の隊舎の周りにある道路を指した言葉で大きな入り口がある方を舎前、その反対を舎後、そのどちらでもない方を舎後と言います。前述した伝達でしばしば位置を指定する際に使われがちです。
官品
官品とは国から防大生に貸与された物品のことであり銃の部品はもちろんのこと制服や帽子等も当てはまります。これを無くすと官品捜索が始まり時間が圧迫されます。余談ですが一年生は最初に64式という銃が貸与されます。64式はピストン桿止め用バネピンが無くなりやすいことで有名ですが、私の中隊では銃を貸与された日に脚どめリング(直径5ミリくらいのリング)が無くなり中隊全体でローラー捜索を敢行した結果無事見つかりました。新入生の皆さん、完品の紛失にはご注意ください。
木札
自分の名前が書かれたマグネットのことで、中隊ホール(フロアごとにある大きめなホール)にあるホワイトボードに貼り付けることで今自分がどのような状態であるかを周りに伝えることができます。
キャパ
いわゆるキャパシティーのことで寮内部における能力のことを指します。例えばプレスやベットメイキングが上手いとキャパが高いと言われます。上級生に対してはキャパではなくキャパシティと言いましょう。指導が入ります。
延灯
日夕点呼が終わり本来就寝するはずの時間にある自習時間のことで、延灯を取ると言います。特にテスト前に取られがちです。感染症患者等が増えると中隊グループで健康のために延灯を極力控えるように伝達がきます。
PX
Post Exchangeを略したもので本来の意味は軍隊の酒保のことです。防大内部では校内のファミリーマートのことを指します。慣れるとさらに略してPと呼んだりします。
第二売店
防衛大学校にある熊本商店とミカドスポーツとボエコス土産店をまとめて指した言葉で訓練物品や文房具、スポーツ用品が購入できます。略して2売です。
非日常編
シーマ
シーマとはシーツ・まくらカバーを略した言葉で一週間に一回ほどシーマ交換作業があります。一年生は上級生の分も行う必要があり注意点としては寝室に入る際には略さず「シーツ・枕カバーの交換作業に参りました」と言う点です。
脱柵
防衛大学校からの脱走を意味し、脱柵学生が発生すると臨時点呼ののち学生隊(一般的な防大生全員)全体で捜索を行います。脱柵すると所在不明隊員となり処分の対象になります。確か20日を超えると退校確定なので気をつけましょう。
一斉喫食
一斉喫食はお昼ご飯を学生隊全員で食べることで、一年生が準備する必要があります。以前は毎日行われていましたが、コロナの影響を受けて一度行われなくなりました。現在の4年生ですら経験したことがないそうです。しかし私の期から徐々に復活しており数週間に一回ぐらいの割合で行われています。
非常呼集
訓練で突然指定された物品を持って、指定された日時と場所に集められることです。防衛出動用のA(アルファ)、災害対処用のB(ブラボー)、火災対処用のC(チャーリー)があります。
事故
俗にいう交通事故などの事故のことではなく、規則に違反することを事故と言います。そのため脱柵で発生する不正外出も事故と呼ばれます。
話はそれますが
数字の数え方に関してエピソードを紹介したいと思います。私が所属していた中隊一学年(34人)では着校してから数日のうちに自己紹介をする会のようなものが上級生によって開催されました。その際に所属を述べるのですがここでたびたび間違いが起きます。それはヨンヒャクジュウサン小隊と本来読むところをヨンイチサン小隊と呼んでしまうことです。これやると周りにいる上級生に笑われるので新入生の皆さんはお気をつけください。
まとめ
最初にもお伝えしましたがこれらの用語を知っているだけで防大生活はスムーズになり、見える世界が変わってきます。防衛大学校は最初の一週間が大事です。皆さんが用語をしっかりとマスターして苦の少ない防大生活を送るれることを心から祈っております。質問・要望等あればこちらからお願いします。ではまた次の記事で
事後の行動にかかれ わかれ
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